お話いただいたのは

事務所名汐留社会保険労務士法人
所在地東京都港区
事業統括役員
社会保険労務士
新井 将司さま
社会保険労務士渡邊 あずささま
社会保険労務士試験合格者木下 雄斗さま
HRbase PRO導入時期2024年2月

顧問先は担当制、正社員85%の組織

ー事務所について教えてください。

新井
私たち汐留社会保険労務士法人は、労務管理から人事コンサル、助成金・年金申請まで、人事労務に関する課題を総合的に解決するトータルアドバイザリーとしてサービスを展開しています。汐留グループとして社労士、税理士、弁護士等たくさんの士業が連携し、専門性を活かした事業運営を行っています。

社労士法人には現在45名が在籍し、うち27名が有資格者です。
約300社の顧問先があり、その6割は従業員100名未満の中小企業です。

特長は完全な担当制です。スタッフ全員が顧問先にワンストップで対応できる体制を目指しており、そのためスタッフの85%を正社員として雇用しています。幅広い知識はもちろん、課題解決のためのコンサルティング力が求められる職場です。

新井さま

新井
私自身は2010年に社労士資格を取得し、翌年に入社しました。汐留グループ設立から約3年が経った時期で、社労士法人としてはほぼ第1号の社員です。これまでプレイヤー兼マネージャーとして幅広く業務を担当してきましたが、現在は経営全般に携わっています。

もともと事業責任者のような立場でしたが、やはりよい組織は経営戦略と人事戦略が連動することで生まれると考えています。顧問先にもそのような価値を提供するためには、まず自社で実践できている必要があると思い、採用や教育、評価等の人事戦略にもかかわっています。

ー本日は、実務でHRbase PROを活用いただいている2名にもご参加いただきました。

渡邊
私は2021年に入社し、その年に社労士試験に合格しました。顧問先対応に加え、最近ではグループ統合を行う顧問先の就業規則や退職金制度の見直しを担当しました。また「えるぼし認定」の支援をさせていただく機会もあり、新しい業務にどんどんチャレンジしてスキルを磨いているところです。

木下
私は2023年に社労士資格を取得し、2024年9月に入社しました。業務は未経験からのスタートだったので、先輩から引き継ぎながら経験を積んでいるところです。現在は10社ほどの顧問先を担当しています。

左:渡邊さま 右:木下さま

「労務相談のIT化は無理」から、全員でHRbase PROを使うと決めた経緯

ーHRbase PROを導入していただいた流れを教えてください。

新井
HRbase PROのことは初期から知っていましたが、導入はしていませんでした。代表の三田さんには何度かお会いしたことがあり、労務相談の領域をIT化するというビジョンは面白いと感じたんです。ただし労務相談は経験がものをいう世界で、正解の基準も測りにくく、質の担保も難しい業務です。すでに事務所内でも多くの取り組みがあったため、わざわざコストをかけるイメージが持てませんでした。

イメージが変わったのは2023年です。HRbase PROが「社労士のためのナレッジバンクをつくろうプロジェクト」など、業界に向けた活動を活発化させていると知りました。ナレッジ共有にはもともと課題を感じていたので、「これはいいな」とスタッフにもHRbase PROのことを共有していました。

結局、導入に踏み切ったのはAI機能が登場してからです。正直なところ怖さもありました。AIや便利な資料集が充実することで、スタッフが情報を鵜呑みにしたり、事務所全体の質が下がったりするのではないかと感じたのを覚えています。そのため、最初は最小限のスタータープランからスタートしました。

ーしかしその後、アップグレードをしていただいていますね。

新井
社会にもAIがどんどん浸透していく中で、これはもう「怖がっていてはダメだ」という気持ちになりました。

それでも私たち世代はまだ葛藤があるのですが、便利なテクノロジーが増えれば増えるほど、厳しい環境で努力して勝ち取ってきた経験とのギャップに不安を感じます。しかし成長の機会を奪われるのではないかという不安はまやかしで、うまく付き合えば、成長を妨げるどころかむしろ手助けしてくれるものだと思えるようになりました。

育成という視点でも、属人的になりがちな指導のプロセスにAIが入ることで、自分で調べた結果について意見を出した上で、次の学びのステップに進むことができます。AIは成長機会をなくすのではなく、成長を手助けしてくれるものだと確信し、全社への導入を決めました。

現在は社労士法人の全スタッフ、約40名がHRbase PROを活用しています。利用にあたっては、大手企業の事例を参考にしながら、簡単なガイドラインも作成しました。やはりセキュリティや情報漏洩のリスクは気になりますからね。

進むAI活用。全体像の把握と、調べる時間の短縮に

ー実務で使われているおふたりから、HRbase PROの印象をお聞かせください。

木下
顧問先から相談されていた案件について質問してみたところ、かなり精度の高い回答が返ってきたので、「これはすごいな」と思いました。

渡邊
私は今年からAI推進チームに入ったことで本格的に活用を始めました。もともとChatGPTは使っていましたが、HRbase PROは労務に特化したコンテンツ量が豊富ですよね。とても便利です。

ー皆さん、AI機能を中心に活用いただいているのでしょうか。

渡邊
はい、AIを使うことは多いですね。
顧問先が自社で行っていた給与計算業務を引き継ぐことになり、後輩と一緒に対応することになりました。入社間もない後輩だったため、アドバイスのため注意点をHRbase PROのAIに聞いてみたところ、すぐにタスクの一覧を出してくれました。私が説明するよりもAIの方が情報整理が得意ですよね。

退職金制度に関する説明会を開催するときも、ファイルをAIに読み込ませることで、わかりやすい台本が出てきました。ChatGPTでもできることですが、HRbase PROは労務に特化しているだけあって、労務知識がある人が説明するような文章が出てくるので違和感がありませんでした。

木下
私もAIをよく使います。特に私のように経験が浅いと、初めて発生する手続きは不安ですが、対応に必要な情報が1つのプラットフォームにまとまっているだけですごくありがたいと感じます。HRbase PROで先に全体的なフローを理解でき、調べる時間を大幅に短縮できていると感じています。

ーなるほど、インプット、アウトプットの両方でAIを活用いただいているようですね。

木下
ただし回答をそのまま使うわけではありません。顧問先とのやりとりで感じた機微や事情を加味して、回答をカスタマイズしています。自分の回答の方向性が間違っていないかを確認するのにも役立ちますね。

顧問先からの質問は内容もさまざまなので、私の方で論点を整理し、ある程度かみ砕いてからAIに入力するようにしています。公共資料や関連資料も一緒に提示されるのでありがたいです。

新井
今ではAIをうまく活用できるようになりましたが、実は導入初期は、AIよりも「労務マガジン」や「労務管理ガイド」といった機能が役に立つだろうと思っていました。健康診断や手続きなど、顧問先への「対応の流れ」を説明するための資料がすぐに出てきますし、顧問先向けのセミナーのネタにも使えますから。

しかしやはり、アバウトな質問にも的確な回答を提供してくれるAIの利用頻度が高くなりますね。費用対効果を考えると、現場が「使い倒せる」ことが一番大切です。全社展開してからまだ日は浅いですが、各個人の業務のインフラとして定着すれば、最初の段階としては成功だと思っています。

知識の習得意欲は、AIの有無に依存しない

ーAIの導入によって、ご自身のスキル習得スピードに変化はありましたか?

木下
HRbase PROの情報があっても、関連資料を読んだり、先輩に確認したりすることがなくなるわけではありません。情報の整合性を取って自分なりにまとめる作業を行うので、「よりよい回答をつくる」という観点では、むしろ今まで以上に知識が向上していると感じます。

渡邊
私も、AIによって自分の経験が少なくなるという懸念はあまりありません。頼れる部分はAIに頼って、もっと深掘りしたい内容があるときは、空いた時間で自分の足で直接労働局に聞きに行く余裕ができればいいですよね。助成金や認定制度は顧問先の状況によって対応方法が大きく変わります。その答えはAIでは出てこないので、自分で調査するシーンは絶対残ります。

木下
AIへの相談履歴が残るため、他のメンバーの回答も参考にすることもあります。事務所全体のノウハウが蓄積されれば、自分たちだけでなく、これから入ってくるメンバーも楽になると思います。

ーAIを、知識向上の背中押しとして活用いただけていますね。

新井
AIがあるかないかに限らず、探求心やチャレンジ精神があれば、経験が浅い人もどんどんスキルアップしてくれます。顧問先の課題に本質的に向き合う気持ちがあれば、AIが出した資料をそのまま送付するようなことは起きないはずです。

AI時代だからこそパーソナリティーを重視

ー汐留社会保険労務士法人は全員がジェネラリストを目指されています。法人として、AI時代だからこそ大切にしていることはありますか?

新井
世間から見える「社労士の価値」がどこにあるのかを、自分の頭で考えられることでしょうか。

難しい資格を取り、社会的な責任がある仕事をするわけですから、プライドも必要です。しかしAIが出てきたことで、今まで感謝されていたことが感謝されなくなってきているのは事実です。その価値をAI時代にどう活かすかですよね。

顧問先もどんどんAIを使い始めていますが、私たちは「武器が増えた」と考えるべきです。私たちの価値ややるべきことは変わっていませんし、より一層、顧問先のよい相棒になるための努力をしていく必要があると考えています。

ー相棒になれるのは、まだまだAIではなく人間ですね。

新井
結局はパーソナリティの問題で、これこそコンサルティングを仕事にする社労士にとって必要な要素だと捉えています。顧問先はスキルだけで社労士を選んでいるわけではありません。もっと詳しい人がいたとしても、相性やコミュニケーションの気持ちよさでパートナーシップが生まれていくものです。

AIと人の棲み分けがよく話題になりますが、人間は感覚的な生き物です。AIが知識や経験を補完し、再現性を担保してくれるようになったことで、より一層パーソナリティを重視できるようになったのはポジティブな要素だと捉えています。

HRbase PROを使い倒す勇気と覚悟を

ー最後に、HRbase PROはどのような社労士事務所におすすめできるかを教えてください。

木下
HRbase PROは労務が未経験でも成長できるツールです。これまでの上司からのOJTという育成概念を変えられますし、育成にかかるリソースも確保できるため、成長意欲のあるスタッフがいる事務所には特におすすめです。

渡邊
新人の方だけでなく、業務をひと通り経験した方も、業務スピードが劇的に上がると思いますよ。

新井
HRbase PROはさまざまな目的に活用できるので、本当にどなたにもおすすめできます。
あとは「AIを使い倒すぞ!」という勇気と覚悟の問題ですね。

HRbase PROを単に調べ物ツールとして終わらせてはもったいない。
営業活動やセミナー、そして採用育成にも役立つので、そうした発想があるだけで相乗効果を生み、事務所経営の幅も広がっていくはずです。

大切なのは、まず「このような新しい解決方法がある」と知っておくことです。トレンドをキャッチアップしておき、顧問先にとって必要であれば柔軟に取り入れる。特に難しいことではなく、今までの仕事とアプローチ方法が変わるだけだと感じています。

ーAIの前向きな活用、ありがとうございます。HRbase PROが法人全体の専門性を上げるだけではなく、パーソナリティーを活かした経営の後押しができれば幸いです。

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